ヘッドハンティングされるような人は ただ者ではない

ヘッドハンティングされて転職した人を二人知っている。一人目はN氏。東京の私立大学で4年間化学を学んだ後、国立大学のマスターコースを修めた。故郷の茨城の実家から通える会社ということで アメリカに本社を持つ化学メーカーの日本支店に新卒採用された。2年ほど勤めたところで、東京に本社を持つ大手精密機器メーカーA社にヘッドハンドされる。当面は東京勤務だが、A社は研究所、支店を始め、関連企業が茨城県内にもたくさんある。


いずれは故郷から通える可能性が大きいということで、彼はヘッドハントに応じた。年収も多少アップした。以来A社のバイオおよび環境関係の業務を任され、今日に至る。しかし、もともと仕事にのめりこむタイプの人ではなく、趣味の音楽好きが高じて、A社にオーケストラを立ち上げ、そのオーケストラは今やA社の顔として社内外で活動している。ヘッドハンティングされてA社にやってきたN氏の功績は仕事そのものよりもこのオーケストラを立ち上げたことのほうが大きい、と オーケストラの仲間内ではもっぱらの評判である。


ヘッドハンティングされた経歴のあるもう一人は S氏。大学4年の時、父親が不動産の事業に失敗して、彼も大学を中退した。それでも中堅どころの不動産会社に営業マンとして就職が叶い、ここでメキメキ頭角を現す。新人ながら営業成績は常に上位、2年目に王手不動産会社であるBのヘッドハンティングを受け、転職。B社でもその実力をいかんなく発揮し、営業マンのトップを走り続ける。B社史上最年少の支店長となるも、あっさり独立宣言するが、彼を手放しなくないB社が彼のために一つの支社を作ってしまったという逸話を残す。N氏にしろ、S氏にしろ、ヘッドハンティングされるような人物はやはりただ者ではない、ということだろうか。

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